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世界は分けてもわからない / 福岡伸一

世界は分けてもわからない (講談社現代新書)世界は分けてもわからない (講談社現代新書)
(2009/07/17)
福岡伸一

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福岡伸一の「世界は分けてもわからない」。
ここまで分かりやすい科学本は非常に稀であり、
ここまで詩的な科学本もまた稀有である。

視線を感じるメカニズム、保存料としてのソルビン酸、
ES細胞のロジック、細胞の死など、
科学の中でも我々にとって身近なトピックスを挙げて、
平易な表現と擬人化によってわかりやすく解説している。

さらに、最も希少な必須アミノ酸とコナン・ドイルの踊る人形や
ヴィットーレ・カルパッチョの「コルティジャーネ」と「ラグーンのハンティング」を題材とし、
科学という分けられた世界だけではなく、
文学や芸術といった要素を融合させることにより、
まさに福岡伸一ワールドと言えるような世界を構築している。

また、境界の向こう側とこちら側、空耳・空目など、
認識学的なアプローチも試みており、
本来分かれていないはずの世界を我々が分け隔てて認識していることにより、
様々な誤謬や錯誤が生じることを浮き彫りにしている。

そして、本書の主題とも言えるテーマが、
第8章からエピローグにかけての
マーク・スペクターとガン細胞のリン酸化カスケードにまつわる話題。

1つの分子は様々な分子に作用し様々な分子によって調節される。
そして無数の分子で構成される生物。
分子生物学はまさに生物という全体を分子という部分に分け隔てて考察する学問であるが、
我々は分け隔てることによって様々なものを見失ってしまう。
本来は分かれていないはずの世界を見失ってしまう。
しかし、分け隔てない限り人間は世界を認識することができない。

分かるようにするためには分けなければならない。
しかし、分けることによって分からなくなる。
この矛盾を作者はどう捉え、どうアプローチしていくのか。
そこも本書の醍醐味の1つかもしれない。

この本から湧き出る知識の源泉や考察の濁流は、
知的高揚感という浮力によって我々の心を大きく揺さぶるポテンシャルをもつ。
この浮力が文系の人間にとっていかなるものであるのかは
彼らのレビューを参照する他ないだろうが、
理系の人間にとっては、さらに大きな浮力となって心に強く作用するだろう。
一読の価値は間違いなくある、と私は思う。


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